会いたい
誰かを待っているの?
彼が頷く。
恋人?
恋人という文字に、幽霊は笑みを浮かべてもう一度強く頷いた。とても、愛しげに。
その人も幽霊?
驚くべきことに、幽霊は首を横に振った。
「生きてる人!?」
私は思わず言葉にしていた。
聞こえなくても、私が何を言ったのかはこの反応でわかったのだろう。頷いて笑う。
来てくれるの?
確信を持って、幽霊は強く頷いた。
「――同じなのね」
幽霊は首を傾げる。
「同じ。私も。同じ」
ゆっくり、私は言った。
「わかる? 私も、同じ」
今度は幽霊が、びっくりした顔をした。