会いたい
私が時々幽霊の恋人のことを選択式で質問すると、彼は上機嫌で答える。
そんな私達の会話は普通とは全然違っていたけれど、温かなものだった。
私達は外界とは全く離れた空間にいるように、互いの恋人のことだけを話し合った。
彼の恋人は長い髪でとても綺麗な少女だという。
私はその娘に会って見たかった。
会えたら、私達はきっと気が合うと思った。
穏やかな余韻だけを残す会話が、私に懐かしい既視感を呼び起こしていく。
それは透と過ごした日々に、私が失くしてしまったあの日々に、ひどく似ていた。
だから、永い時が流れたような錯覚に、私は陥っていた。