会いたい
電話が来る
夕方近くに、携帯が鳴った。母からだと、私はひどく重く感じられる頭を一振りして、とった。
「もしもし…」
『あんた、どういうつもりなの!!』
きんきんした声が耳に刺さる。
『一人でとっとと帰るなんて、失礼にもほどがあるじゃないか!?』
うんざりした。
「――気分が悪くなったのよ」
『気分が悪いからってねえ!』
「帰って寝なさいって言ったのは向こうの方よ。お医者さんの言うことに逆らえるわけないじゃない」
不服そうなしばしの沈黙が、伝わる。