会いたい
「忘れられないと、思います。あの人がいなくなって三年、その間、私は大学を卒業し、社会人になりました。あの人がいなくても生きていけます。日常に追われて、あの人を忘れて、仕事で泣くことも毎日じゃない。どうにか教えていくことにも慣れました。生徒たちもかわいいし、忙しいけれどやりがいもあります。
今はこれで精一杯なんです。あの人がいなくても私は生きていけるけれど、あなたとお付き合いすれば、私また、あの人のこと思い出して過ごすことになります。あなたとあの人を比べてしまうでしょう。あの人は、特別だったから――」
私が一番望んだ時に、あの人だけが私をわかってくれた。過ぎてしまったことでも、私には、大事な想い出だから。
「俺、我慢強いほうだから、いつまでも待ってます――って言っても駄目ですか?」
「――」
私は首を横に振る。それしかできなかった。
答えは、一番初めから決まっていたことだった。
「ごめんなさい――」
笑えなかった。でも、泣かなかった。