会いたい

「――」

 どうしていけないのだろう。
 私は今でも、透が好きなのに。
 何故、無理に好きでもない男と結婚させたがるのか。
 透以外の人を好きになんてなれっこない。透は特別だったのだ。だから、好きになったのだ。
 誰にもわからない。もう、わかってもらおうとも、思えない。
 私の想いは、いつだって透以外の人にはわからなかった。

「――」

 私は哀しくなったので、また幽霊に会いに行くことにした。
 彼に会えば、私の気持ちはいつも軽くなった。
 穏やかに私を迎え、何も余計なことは言わない。言わなくても、彼には私の気持ちがわかったし、私にも彼の気持ちがわかったから。
 私は、言葉のいらない穏やかな沈黙が好きだった。透もそうだった。
 だから私は、透と同じように幽霊が好きだった。
 私の気持ちは、生きている人にはわからないのかもしれない。
 なぜなら私ももう、死んでいるのと同じだから。
 透が死んだと聞かされたあの日から、私ももう、死んでいるような気持ちだから。
 だから、生きている人よりも幽霊といて、心が和むのかもしれない。

 私はいつも、普通ではない誰かを愛している。
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