リンデン氏の書棚【完】
翌日、リンデン氏はルキアの家を訪れた。
インターホンを鳴らすと中からルキアの母親が現れた。
「あら、リンデンさん」
「こんにちは。あの、ルキアに会わせていただきたいのですが」
リンデン氏がそう言うと、母親は訝しげな顔をして彼を見た。
「リンデンさん、うちにはルキアなんて子はいませんよ」
その言葉を聞いて、彼は全てを悟った。
あぁ、ルキアはあの本を声に出して読んでしまったのだな、と。