夏恋~小さくて素敵な恋~



誰でもわかるよ。



「そうか!」


塚原くんはちょっと照れてるようだった。



照れるところも爽やかだ。



「じゃあ、まずシュートの練習な!」

「うん。」



ボールをもらってリング下にきた。



まず塚原くんがお手本を見せてくれる。



相変わらずボールはリングに見事に入った。



「ポイントはボードに書いてある四角あるだろ?」

「うん。」

「その角を狙うんだ。」

「わかった。」



胸の前にボールを構えシュートしようとした瞬間、目の前のリングが見えなくなった。



そして頭上から聞こえてくる声。



「違う違う。ボールは胸の前じゃなくて、おでこ!」



コツンとおでこに当たったボール。




目の前に広がる笑顔。




胸の奥がキューっと締め付けられた。




そして、またドキドキなる鼓動。




塚原くんの手が、ボールを持っていたあたしの手に軽く重なった。




多分、塚原くんは無意識だったと思う。




でも、あたしは全く平然としてられなかった。




さっきからドキドキが止まらない。



顔も熱い。



恥ずかしい。



何が恥ずかしいの?



でもわからない。



男の子とこんなに急接近したことないから…?



でも、



指先から伝わってくる温もり。



すごく心地好い。



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