夏恋~小さくて素敵な恋~



受話器の向こうから、里美と晴美の声も聞こえた。



あ~…。



心配かけちゃった!!!!



「ごめんなさいっ!」

[奈留、今どこ!?]

「学校…。体育館にいる。」

[塚原と一緒なの?]

「うん。」

[よかったぁ。何かあったんじゃないかって心配だったんだよ?]

「本当にごめんなさいっ!!!」

[いいよ。奈留が無事なら。]

「奈々ちゃ~ん…。」

[詳しくは明日聞くから。塚原に代わってくれる?]

「うん、わかった。」



あたしは耳から携帯を外し、塚原くんに差し出した。



不思議そうな顔をする塚原くん。



「奈々ちゃんが代わってって。」

「ん、なんだ?」



それから塚原くんは少しだけ話して電話をきった。



「奈々ちゃん、何か言ってた?」

「うん。松岡を送ってくれって。」

「えっ?」

「そろそろ帰るか。」

「えっ、いいよ!一人で帰れるし!」

「ダメだよ。もう遅いし。」



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