夏恋~小さくて素敵な恋~
「悪いよ!まだ明るいから大丈夫だよ!」
「もう暗くなってるよ。それに、送って帰ろうって思ってたから。」
「でも…!」「送らせて。」
塚原くんはあたしの言葉を遮って言った。
ニコニコ笑っている塚原くん。
「…うん。」
思わず頷いてしまった。
なんだか、この笑顔を見るとついつい頷いちゃうな。
一緒に体育館を出て、更衣室へ向かった。
更衣室には置いてけぼりの鞄が確かにあった。
鞄を取り、下駄箱へと向かう。
その間も塚原くんはずっと喋っていた。
塚原くんはやっぱりおもしろくて。
一緒にいて楽しかった。
人気があるのもわかる気がする。
校舎を出ると、あたりは少し暗くなっていた。
「さっきまで明るかったのに。」
「そうだな。」
二人で並んで歩いた。
少し緊張しながら。
男の子と一緒に帰るのが初めてだったから。