夏恋~小さくて素敵な恋~
「え~、なになに?何かあったの?」
奈々ちゃんが笑顔で聞いてくる。
これは何かを期待しているときの顔だ。
「別になにもないよ。」
ただ、お礼を言うタイミングがないかもしれないことが分かって、困惑してしまった。
大会前なら、集中しないといけない時だろうし、なによりも忙しいだろう。
「なんだ。何かあったのかと思ったのに。あの後、塚原も帰っちゃったし。」
「何の話?」
「打ち上げの時、奈留先に帰ったでしょ?カラオケの終了時間も近づいてたから、次どこにしようか決めてた時に塚原だけ帰ったの。」
「そうなんだ。」
じゃあ、あの時は打ち上げの帰りで。
その偶然に、幸いなことに出会ったんだ。
そこで元気をもらったんだ。