夏恋~小さくて素敵な恋~
どれぐらい時間が経っただろうか。
図書室の中に差し込む夕日が弱くなっていることに気づく。
あれ?
今何時だ?
時計をみると、もう午後の六時だった。
「いけないっ!」
立ち上がって外を見ると、グラウンドにはさっきの部活動生の姿も無く
体育館の電気も消えていた。
「あ~…」
本を読み始めると時間を忘れてしまう。
「あれ松岡、お前まだいたのか。」
「あ、先生…。」
戸締りをしに来たのか、先生が不思議そうな顔でこっちを見てきた。
「どうしたんだ。」
「もうみんな帰りましたよね…?」
「多分残っているのはお前くらいじゃないか?早く帰りなさい。」
「…はい。」