夏恋~小さくて素敵な恋~
「あ、そうだ、これ。」
そう言って、塚原くんはさっきのジュースを差し出した。
「あげる。」
「え、そんな悪いよ!」
「松岡にあげるために買ったんだ。」
「でも…。」
「いいから。」
そんな風に笑うと断れない。
どうもこの笑顔には弱い。
「ありがとう。」
あたしも何かお礼をしたいのに…。
「お礼をしなきゃいけないのはあたしなのに。」
そうつぶやくと、隣で明るい声がした。
「じゃあ、今度俺にもジュースちょうだい。で、松岡の好きなジュースも教えてよ。」
それは良い考え!
「うん!もちろん。塚原くんの好きなジュースも教えてね。」
あたしは笑顔で塚原くんに言った。
やっと出た笑顔のきっかけも、塚原くんだ。