ふたりの練習曲 ~Raita side~
わきにペットを挟んだ状態で、あーでもないこーでもないとネクタイと格闘していた俺は、
背後から急に声をかけられて、少し・・・いやかなりびびった。

恐る恐る振り返ると、少し離れた場所に、薄っぺらい板をくわえた女子が立っていた。

ブラウスの襟元に、俺がいま格闘しているネクタイと色違いのリボンをつけているってことは、彼女も吹奏楽部の部員なのか?

ってことは、木管かパーカスだな。


吹奏楽部は女子の部員が多いせいか、ヘンな派閥とかあったりして、各楽器同士なんとなく仲が悪い。

その上、大所帯のせいで、普段の練習場所がばらばらなのも、またなんとなく仲良くなるきっかけを掴めなくしている。

そんなんで未だに俺は、同じ金管楽器ならまだしも、木管やパーカスの部員はソロを演奏する何人かと部長くらいしか、顔と名前が分からない状態にいる。


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