ふたりの練習曲 ~Raita side~

それって・・・間接ちゅーだよなぁ?

「えっ、えっとぉ・・・
俺がくわえてもいいの?」

「ちょ、ちょっとだけだよぉ、ちょっとだけだからねぇ!」

自分で言っておいて恥ずかしくなったのか、耳まで真っ赤にして顔を背けてしまった。

いや、そーゆう反応されると、くわえるこっちのが恥ずかしくなるんだけど・・・

「じゃあ、ちょっとだけ・・・」

細い指につままれたそれに、どきどきしながら顔を近づけて、さきっちょに口をつける。

・・・ん、無味?

試しにちゅっと吸ってみると、かすかに知っている味がした。

「・・・何の味だっけ?」

「知ってる味なの?」

「うーん、知ってるような、知ってるような・・・」

「えっ、気になる言い方しないでよぉ!」

えーっと、なんだったかなぁ?

あっ、思い出したっ!

「カップアイスのスプーンの味だっ!」

「スプーン?」

予想外の答えだったのか、きょとんとした顔を俺にむけた彼女は、階段一段分低いとこから、まじまじと俺を見上げる。

その瞳がまた可愛くて、ふたたびドキッとさせられた。


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