-キミの声が聞きたくて-
すると美和が手話で長野になにかを伝え始めた。
「へ~…」
と、ニヤニヤしながら微妙な相槌をいれる長野。
どんな理由なんだろうか。
とても気になり、長野の言葉を待った。
「坂井くん……」
「…はい」
なぜか緊張して声が上擦ったうえに敬語になる俺。
ゴクン。
唾を飲み込む。
「…“なんとなく”だって」
ぷぷぷ。
とでも言わんばかりにニヤケる長野。
……“なんとなく”?
なんか、負けた。
やっぱり、美和には適わねえや。
「さんきゅーな?」
俺が美和に言うと、少しだけ頬を赤くした美和がコクン。と頷いた。
そんな仕草にも、
美和の1つ1つの仕草にもドキリとした。
「ちゃっちゃと食べなきゃとけるわよ」
と長野に促され、俺はハッとなりながらもスプーンを手に取り、アイスクリームを口にした。