-キミの声が聞きたくて-
突然のことに、頭が混乱して泣き出してしまいそうになる。
「…これは…これは、俺の考えだけどさ…」
陸翔がしっかりと私を見据えている。
「……」
「俺は、嫌なことがあっても、忘れないようにしてる……」
何かを思い出すように話す陸翔。
「…それは、“自分”に負けないような、“強い自分”になるため。」
強い、自分……??
嫌な思い出を、忘れないことが大切なの……?
「…俺は、ちゃんと思い出を背負って生きて行きたいって思ってる。
これは、母さんからの受け売りだけど……
“ちゃんと思い出を背負って生きて行ける人は強い人だ”って。
例えば、すごくすごく楽しい思い出を忘れないのはもちろんだけど、悲しい思い出でも、忘れたいって願いたくなるような…苦しい思い出でも…」
陸翔は、そこまで言うと唇を噛みしめた。