-キミの声が聞きたくて-
*帰したくなかった*
「じゃあ、またな」
そう言って手をふる陸翔。
それに対してブンブンと手を振る私。
もぅ、バイバイか……
寂しい。
さっきまでずっと一緒に居たから。
なんだか離れがたい。
“もう少し一緒にいて”
そう言いたいのに、言えない。
私は声が出せないから。
ううん。
……もしかしたら、私はそれを言い訳にしてるだけなのかもしれない。
だけどやっぱり言い出せない。
“面倒な女”って、“重い”って思われたくないから。
陸翔の背中はどんどん遠くに行く。
私は家の前に立ち尽くしたまま、動けない。