-キミの声が聞きたくて-
陸翔の後ろに立つ夏美。
そんな夏美に陸翔は気づいていない。
――――――嫌な予感がする。
陸翔、気づいて……!!
後ろに夏美がいるよ……!!
気づいて、気づいて、気づいて…!!!
ジッと陸翔を見つめる。
陸翔は私に笑顔を向けているけど、私は陸翔に笑顔を向けられない。
そこで、ふと夏美と目が合う。
背筋が凍りつくようだった。
こんなにも暑い7月の昼。
なのに私の身体は冷えていく。
暑さを感じない。
夏美から目が離せないでいると、夏美が何かに気づいた。
―――気づいてしまった。
夏美の前にいる人が、陸翔だと。
“私の大好きな人”だと。
夏美はニヤリと笑う。
どうしよう。どうしよう。
―――嫌な予感が、トマラナイ―――