-キミの声が聞きたくて-
そんな時、
「……陸翔…」
今にも消えそうなほど小さな声で、誰かが俺を呼んだ。
懐かしい、暖かくて優しい声。
あぁ、母さんだ。
また、来てくれたんだね。嬉しいよ。
「……お母さん、今でも反省してるの」
何を反省してるの?
「……あの時のこと。」
あぁ、わかった。
そんな昔のことなんて、忘れてくれて良かったのに。
“気にしてない”
そう言ったらウソになる。
だけど、俺は本当に大丈夫。
何度も何度も謝ってくれたから。
言った分だけ、ううん、それ以上の愛をくれたから。
俺は、幸せ者だから。
「……ごめんね…」
ほらまただ。
“いいよ”
早く起き上がってそう言いたい。
「…早く、目を覚まして……」
母さん、待ってて。
今、起きるから。
安心して。