-キミの声が聞きたくて-
「どういう…こと??」
ワケが分からず長野に尋ねた。
「…美和は……美和は、声を失ったの……」
俯きながらそう言う長野。
「失っ…た…?」
「美和、過去に色々あって……声、出なくなっちゃったの……」
そう呟く長野の表情は、どこか自分を責めているような、後悔しているような感じだった。
「色々…は、言えないんだろ…?」
長野の表情から俺は悟った。
“今は聞いちゃいけない”って。
「うん……坂井くん、ありがと」
それだけ言って長野は走っていった。
“話せない”か………