-キミの声が聞きたくて-


「………学校に、か…か、か、か、か……カバン、忘れた………」



「はぁ?!」

「だ、だって…雫が急に手を引くから…」
「人のせいにすなっ」
「…うぅ…」


ど、どうしよう。
でもでもでも!!大丈夫だよね?

大したもの入ってな…………………


「家の鍵とか、財布とか……あぁ、携帯までカバンの中だ……」

「うわー。美和、携帯いじんないもんねー。ドンマイ、ドンマイ。」

肩をポンポンと雫に叩かれた。


い、1日くらい…大丈夫だよね?


ええい!!
カバンより何より陸翔が大事だっ!!


「…ま、いっか。カバンより陸翔。カバンより陸翔。」

自分に言い聞かせて、再び歩き出した。




その時、
「雫ぅーっ。真田さーんっ」


遠くから、私たちを呼ぶ声がした。



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