-キミの声が聞きたくて-
振り返るとそこには、
「直人っ」
「水野くん!」
水野くんがいた。
「へへ、走ったら追いついた。」
無邪気に笑う水野くん。
そんな水野くんに嬉しそうに笑う雫。
2人を見て、少しだけ寂しくなった。
私もこんな風に、陸翔と笑い合えたらいいのにな。
ちょっとだけ、ツラいな。
でも、我慢我慢。
「…あ、真田さん、これ」
そう言って水野くんがあるものを私に差し出す。
「「あ!!」」
カバンだ。
「うん。机にかかってたからね、忘れたのかなーって」
にこりと微笑む水野くん。
あぁ、アナタが神さまに見えます。
ありがとう、水野くん。
1人心の中で水野くんに感謝の意を述べていると、携帯が鳴った。
「…もしもし」