-キミの声が聞きたくて-



「りく…と……?」



陸翔の焦点が、あっていない。
目を開けて、こちらを見ているのに…

陸翔と目が合わない。

なんで………?
ウソ、でしょう………?


「…大丈夫。」
突然、陸翔が話す。


「…しばらくすれば見えるようになるってさ。これは後遺症。」

力無く笑う陸翔。


後遺症……


「見える…ようになるんだよね…?」

「あぁ」

ニコッと笑う陸翔。

ウソではなさそうだ。


「これから、大変なんだ。胃が食事になれるまでがね」

困ったように笑う陸翔。
そっか。
2ヶ月くらい、何も食べてないんだ。

胃が、もたないよね。

「陸翔っ!?」
「坂井くん!?」

そこへ、雫と水野くんがやってきた。


「陸……」
嬉しそうに、“待ってたよ”とでも言っているような優しい目をする水野くん。




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