-キミの声が聞きたくて-
その日の放課後。
帰ろうと立ち上がった時、制服の裾を引っ張られる感覚がしたから振り返った。
すると、後ろには俺の制服の裾を握り俯いている真田がいた。
ドクン。
そんな可愛いことされたらヤバいから。
「真田……?」
俺は平静を装って真田を呼ぶ。
すると、真田から手紙のような紙きれを渡される。
小さいメモ帳……??
ワケがわからず真田を見つめていると、握っていた制服を離した。
そして、
“またね、バイバイ”
口パクでそう言い走り去る真田。
真田の口が動くのを初めて見た。
その口で、可愛い声を出す真田を想像してしまったんだ。
俺は真田からもらった紙を握る。
そして、堪らなく“好きだ”と思ってしまったんだ。