-キミの声が聞きたくて-

そんな感じで席でボヤーっとしていると、担任らしき人が教室に入って来た。

「はい注目ー。私が、今日からこのクラスの担任になった夏井だ。1年間よろしくな!!」

元気な声で挨拶をするのは、保体の夏井。
俺はまぁまぁ嫌いじゃない。
熱血教師って感じだけどな。


「早速だが、今から始業式だ。急いで廊下に並べー!!」

先生の一言で生徒たちが一斉に動き出す。
俺も急ごうと椅子から立ち上がった。

すると、

…ーガシャンー
大きな音が後ろの席からした。

びっくりして思わず後ろの席を見てみると、後ろの席の女子が筆箱をびっくり返していた。


「わー。やっちゃったねー…」
周りの女子は見たはものの手伝わない。

その気持ちも分かる。
なんて言ったって夏井が廊下で“急げー”と声をかけているから。


いつもだったら俺も素通りする。


だけど、何でか分からないけど……



気づいたらその子が落とした筆箱の中身を一緒に拾ってたんだ。


「急げーーっ」
廊下からは変わらず夏井が叫んでいる。




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