-キミの声が聞きたくて-
夏美……?
誰だ?
美和と長野の友だち…ではなさそうだな。
ふと美和を見ると今にも泣き出してしまいそうで。
「やだ、2人とも彼氏いるんだぁ。良かったねぇ、美和、雫。」
そう言って2人の肩に手を置く夏美ってヤツ。
パシン。
空を切ったような音が響く。
長野が夏美ってヤツの手を振り払う。
「いったぁーい。何するのよ雫。」
「止めて!!!これ以上私たちに関わらないで!!」
キッと夏美ってヤツを睨みつける長野。
その瞬間。
ポツ。
俺の頬に冷たいものが落ちる。
「雨……」
直人が呟く。
「…ま、いいわ。今日は許してあげるわ。“またね”」
夏美ってヤツはそれだけ言うとどこかに走って行った。