-キミの声が聞きたくて-
「美和っ!!?」
長野が美和を揺する。
だけど美和はビクともせずにどこか一点を見つめている。
「美和っ!」
「真田ちゃん!!」
俺と直人も美和に駆け寄る。
「美和!!」
長野が美和を見据える。
すると、ハッとする美和。
「……」
長野に手話をする美和。
俺も直人も手話なんて分からないからチンプンカンプン。
美和、手話とか使うんだな……
美和のことわかってきたとか言っといて、知らないことがあって。
ショックだった。
突然、長野がコクン。と頷いた。
「……わかった」
そして美和が俺たちに“バイバイ”と言って走り去る。
「美和!?」
俺は驚いて美和を呼び止めようとした。
だけど、長野に制された。
「今日は、1人にしてあげて……」
俯きながら呟く長野。
「私も…帰るねっ…バイバイ」
そう言って長野も帰ってしまった。