-キミの声が聞きたくて-
長野から聞いた過去は思いもよらないもので。
“吉井美波”
この辺で知らないヤツはいないだろう。
それくらい、有名な事件だった。
それがまさか美和たちの中学だったなんて……
知らなかった。
そして、俺は決めた。
“美和に会って話がしたい”
そう思った。
美和きっと、1人で泣いてる。
だったら俺は傍にいてやりたい。
何も出来ないけど、傍にいてやりたい。
強くそう思った。
「長野……美和の家教えてくれ…」
俺が長野にそう言うと、長野は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに悲しそうに笑った。
「……ありがとう」
長野の言葉は胸に響いた。
それから俺は長野に美和の住所を聞き、屋上から飛び出した。