-キミの声が聞きたくて-

コンコン。

水野くんが職員室の扉をノックする。

「……練習通りにね」

そう言う水野くん。

「…わ…分かった」

先ほど、水野くんにある作戦を提案されて、それを今から実行することに。


職員室から“どうぞ”と言う声が聞こえたのを合図に、私は職員室の扉を開ける。

「し、失礼します。二年一組の長野雫です。夏井先生に用があって来ました。」

「お!長野、遅刻かぁ?」

席に座ったままの夏井先生が私を見る。


「先生、実は……」


それから、水野くんが考えた作り話を私なりの精いっぱいの演技で夏井先生に話した。


すると……

「そうだったのかぁ~…いやぁ長野、お疲れさま!!水野もな!!」


そう言って廊下に出て来た夏井先生は水野くんの頭をポンポンと叩く。


「ところで坂井は……?」



しまった…!!
坂井くんのことまで考えてなかった…!!



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