-キミの声が聞きたくて-

「………」

嬉しい。
好きな人に“好き”って言ってもらえるのって、こんなにも嬉しいことなんだ。


……だけど。

私は陸翔の気持ちに答えられない。


美波を傷つけておいて、幸せを奪っておいて、自分だけ幸せになるなんて出来ない。

だから陸翔、ごめんね。
こんな私を好きになってくれてありがと。

私なんかより、陸翔にはずっと良い人がいるから。


私の頬をツツーっと涙が伝う。


「美和……」


私の表情から察したのか、眉を下げる陸翔。


“ごめんね”

私は紙にそう書き、陸翔に渡した。



「……分かってたんだ。美和が俺を好きじゃないことくらい。」

突然、笑顔で話し出す陸翔。


だけど、その笑顔はニセモノで。
とても悲しそうに笑う陸翔。

やっぱり私は、好きな人を傷つけることしか出来ないんだ。






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