Sweet Chocolate Kiss(短編)
サラサラと頬を撫でる風。
遠くに聞こえる部活中の生徒の声。
柔らかなシーツの感触。
それに…
懐かしくて、大好きな甘い甘いチョコの香り。
それらを少しずつ感じながら覚醒していく頭の中。
柔らかにゆっくりと目を開けたとき。
「逸都…大丈夫…?」
目の前にいたのは…
心配そうな顔をした俺の大切な女の子だった。
「え…、ちょこ…?」
「よかった、気がついて。体…なんともない?」
そう言って。
ちょこは俺の髪をサラサラと撫でる。
「痛い…とか、気持ち悪い…とかはない??」
「ん…。今んトコは平気……。」
「…よかった。
なんだか今日の逸都は変だったから心配してたんだよ?」
そう言われて
“ちょこさんのコト考えすぎて情緒不安定になってしまったんです”
とは決して言えず。
「あ…あぁ…、うん。」
とか曖昧な返事で言葉をにごしていると、アイツはニッコリ笑いながら
「佐加美センパイも凄い心配してたから呼んでくるね。」
と、ガタンと席を立つ。