Sweet Chocolate Kiss(短編)
「逸都、大好き…。」
そう彼の胸の中で呟くと
「あ~…クソッ…。」
逸都は更に強い力で私をグッと抱きしめる。
抱きしめられた逸都のカラダはさっきよりも熱くって…頬に当たる胸板からはドクンドクンと激しく脈打つ鼓動が耳元で聞こえる。
私を抱きしめてくれた、彼の表情を盗み見たくて、フッと顔を上げようとすると
「ちょこ。今、俺の顔見たら殴るかんな。」
そう言って。
逸都は私の頭を右手でグッと押さえる。
「……。」
「……。」
「……。」
「…はぁ…、ダメだ。
どうしたらいいのかわかんねぇ……。」
私を抱きしめたまんま。
力なく呟く、逸都。
――なんだ、そりゃ。
そんな逸都を見たのは初めてで。
クスッと笑うと
「…なんだよ。」
バツが悪そうに逸都が睨む。
「そんないっぱいいっぱいな逸都、初めて見たな~と思って。」
と返すと
「ウルサイ。誰のセイだと思ってんだよ!!」
逸都は私を抱きしめたまんま、片手で私の頭をコツンと小突く。
「全部、全部お前のセイだ。俺がこんな情けねぇ姿になってんのも、おかしくなっちまってんのもっ!!」
そう言って。
彼はまたバツが悪そうに窓の外に視線を移した。