Sweet Chocolate Kiss(短編)
エグエグと軽い嗚咽をあげながら、涙をぬぐっていると逸都はハァ~とため息を吐きながら体を離す。
「あのなぁ、なんで泣くんだよ。」
逸都はそう呟いて。
困った顔して私の涙をそうっと拭う。
「ホント…お前の反応は謎だらけだ…。」
俺様逸都がそんな風に弱々しく頭をかしげるから。私は思わず、涙を拭いながら吹き出してしまう。
「なんだよ。文句あんのか。」
当然のように私の反応に強いイラつきを見せる、鈍感バスケプレイヤー佐藤逸都。
そんな彼に“違う、違う!!”と首を振って。
「逸都がそんな嬉しいコト言ってくれるから…、夢みたいで、信じられなくて…、気がついたら涙が出ちゃったんだよ。」
まぶたに涙を溜めながらフフッと微笑むと、逸都はハッとした顔をしてフッと下に視線をずらす。
そして何かを考えた後グッと深くうつむくと、私の右手をギュッと強く握りしめた。