Sweet Chocolate Kiss(短編)
そう言った瞬間。
逸都は私の髪に指を絡めて、サラサラと髪を撫でる。
「後悔しねえ?」
「…うん。」
「ホントに??」
「ふふっ。
逸都が私を必要としてくれるならね?」
そうイタズラっぽく微笑むと逸都は“コイツぅ!!”と笑って私のオデコをピンっと弾く。
「いたぁいっ!!」
「アホか。この俺様をからかったバツだ!!」
「えぇーっ!!??」
しばらくそうやって、二人で笑いあってジャレあっていると…。
ふとした瞬間に絡み合い、繋がり合う二人の視線。
時が止まったかのように見つめ合って。
強い力で引き寄せられるように、お互いがお互いの距離を縮める。
言葉にはできない。
うまく言えないけれど、あの時の私たちはお互いが同じくらい、目の前の相手を求めていたんだと思う。
――この人が欲しい
――コイツが欲しい
まるでそうなることが当たり前のように
息をすることのように…
ううん。それ以上に自然に。
私たちは瞳を閉じると。
誰もいない保健室で
初めてのキスを交わした……。