Sweet Chocolate Kiss(短編)


もっと久喜さんが自分勝手な女の子ならよかったのに。
自分の気持ちだけを押し付ける人だったなら、逸都は相手になんてしないのに。




「私…佐藤センパイのプレイが好きなんです。だからセンパイのバスケの邪魔だけはしたくなくって……。」



久喜さんは逸都に向かって『すみませんでした』と頭を下げる。



ずるい。
ずるいよ。
逸都のバスケを邪魔しない、かわいくて優しい女の子なんて…できすぎてる。
そんな素敵な女の子…興味を持たないワケがない。




逸都はそんな久喜さんを見て
居心地悪そうにポリポリと頭を掻くと

「いや…、正直第一印象は悪かったけど…。
純粋に俺のプレイを気に入ってくれてんだなって思ったし、何よりクッキーの妹なワケだし…。」

そう言って彼女の目の前にスッと右手を差し出した。




「え…?」



突然の逸都の行動に目をまん丸にさせて驚く、久喜さん。





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