Sweet Chocolate Kiss(短編)
今まではそれでよかった。
だって逸都の恋人はバスケットボールで興味のあるコトはバスケしかなくて。
そこに女の子が入る隙間なんてどこにもなかった。
逸都は私のモノにはならないけれど、誰のモノにも決してならない。
それが私たちのバランス。
だけど…今は違う。
久喜さんはどんどん逸都に近づいて、彼の一番近い人になろうとしている。
ダメだ…
このままだと私は確実に逸都を失うコトになる……。
「見てるだけなんて何にも報われないわ。やればよかったって後悔を残すくらいなら、フラれようが、気まずくなろうが、チャレンジした方がいくらかマシだと思うわよ?」
うん…ホントにそうだ。
心愛のいうとおりなのかもしれない。
確かに“あの時あぁしとけば…”って苦い後悔だけは死んだってしたくない。
それなら…
ぶつかるしかないのかもしれない。
私はグッと決意をして、そのチケットを握りしめると
「ありがとう、心愛。
私…ちょっと頑張ってみるよ。」
心愛に向かってニッコリと微笑む。
心愛は満足そうにニッコリ笑うと
「よし。負けんじゃないわよ、チョコ!!」
そう言って
私のオデコをツンッとつついた。