Sweet Chocolate Kiss(短編)
スローモーションのようにゆっくりと顔を放して。
センパイはとろけるように優しい笑顔を向けるとポケットの中から何やら紙切れを取り出して、私の前に差し出した。
その…黄色い華やかなチケットを見て、私の体中の血が凍りつく。
そ、そ、それはぁ~っ!!!
佐加美センパイが差し出したチケット。
それは…昨日、逸都に奪われた夢の国への招待券だった。
「ハヤトに聞いた。
千代子ちゃんが俺とテーマパークに行きたがってる…って。俺でよければいくらでもエスコートしてあげる。
一緒に行こう?千代子ちゃん。」
ハーヤートー!!!!!!!
こんな状況を作った原因はお前かあ~っ!!!!!!
そんな私の怒りをよそに。
佐加美センパイはその両腕で私の体を優しく、優しく、包み込む。
甘い、甘い、
女の子なら夢のように甘い素敵なセンパイからの告白。
だけど…
私の心は哀しみと怒りでいっぱいだった。