Sweet Chocolate Kiss(短編)


「私は…久喜さんに嫉妬したよ…?彼女が私ならいいのにって何度も思った……。」



そう言って、俺を見上げたちょこの顔は幼なじみとしての顔ではなく…
オンナとしてのそれだった。






まずい
マズイ!!!



次にちょこの口から出るであろう言葉にピンときて、俺の頭の中で激しい警告音がガンガン鳴り響く。




マズイ。
その言葉を聞いてしまったらどうなる?



今までの俺達の距離感
築き上げてきたモノ


その全部がその一言で崩れ去る。






怖い…。
イヤだ…。



それだけは絶対にイヤだ!!


ちょこと他人になるのも
よそよそしくなるのも
今までの俺たちがゼロになってしまうのも絶対にイヤだ!!!!





俺は…怯えていた。
ちょこが言おうとしてる言葉が心の底から怖かった。





だから…かな。






「私…私ね?佐加美センパイじゃなくてホントは逸都のコト……!!!!!」






俺の目をまっすぐに見て
懇願するように言葉を紡ぐアイツに向かって、






「言うな!!!!
頼むからそれ以上は言うな、ちょこ!!!!」






こんな…
ひどい言葉を投げつけてしまったのは。


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