Sweet Chocolate Kiss(短編)
「ま…、いいんじゃない。ハヤトにはいい薬よ。」
紙パックの小豆オレを飲みながら、ココアは呆れたように言い放つ。
「いつまでも都合のいいポジションでちょこをキープされたら…、こっちはたまったもんじゃないわ。」
キープ…ねぇ。
そんないいもんでもないと思うけど……。
私は一週間前の逸都を思い出してハァ~と盛大にため息をつく。
「ホント、アイツはズルい男ね。
しかも幼なじみとしてのちょこだけ欲しいなんて…、鈍感にも程があるわ。」
チュゥゥっと小豆オレを勢いよく吸い込むと、心愛は逸都をギロリと睨む。
そして一瞬、逸都をビクつかせた後
「ま…。
あんな小ズルい小心者の俺様オトコよりも梅星センパイの方がアンタにはお似合いよ。」
そう言って心愛は私の肩をポンッと叩いた。