伯爵と妖精~新しい息吹~
自慢のブロンドと透き通る様に白い肌を鏡で見ていたルーシー。
「誰が見たってアシェンバート伯爵に釣り合うのはわたしくしよね、イザベラ」
後ろでくしを手にした侍女のイザベラが頷いた。
「あのリディアとかいう女は釣り合っていないわ」
立ち上がりイブニングドレスを選んでいたら、
「奥様、アシェンバート伯爵がお見えです。どうなされますか?」
イザベラが静かに紙を渡した。
〔君に会いたい〕
と、書かれていた。
「直ぐに通して。あと、伯爵と会うことは夫には内密にして頂戴」
「ですが…」
戸惑うイザベラに対し、
「わたしくしの侍女のくせに、主人に刃向かうき?」
何か言いたげだったが、黙って頷い。
そしてルーシーは上機嫌にドレスを選び部屋を出た。
深呼吸してドアを開けると、中には自分と同じブロンドの青年がこちらを見て微笑んだ。
「レディ・ウェンベルト、貴方に会いたくて来てしまいました」
ほらね、私を選んだ。
まんざらでもない笑みを浮かべ、
「あら、レディ・ウェンベルトなんて他人行儀だわ。ルーシーと呼んでくださる?」
「もちろん」
手にキスをされ、椅子までエスコートされた。
(伯爵も私に夢中だわ)
「あら、今日は奥様とご一緒じゃ無いのかしら?」
当たりを見渡し、微かに微笑ん。
「一人だよ。君と二人っきりで話がしたくて」
「でしたら、イザベラ、外に出てて頂戴」
「かしこまりました、奥様」
黙って部屋を出た。
「伯爵、わたくしも貴方ともっとお近づきになりたかったのよ。友人の妻としてじゃなくて…」
唇が当たりそうな距離で話した。
するとエドガーは薄く微笑み、
「ならよかった、じゃあ僕と君が愛人なんてデマ話を、愛する妻にしないでほしい」
笑顔で言われた。
「デマじゃないわ、これからそうなるのよ」
腕を首に回そうと手を伸ばしたが、
「残念ながら、もう僕は昔の僕じゃない。だから君とは愛人になんかなる気は一切ない」
腕を払い立ち上がって、去ろうとした。
「わたしくしが不満だとおっしゃるの?」
背中に声をぶつけるルーシー、するとエドガーは振り向き微笑んだ。
「ああそれと、妻をこれ以上傷つける様なことがあれば…、この世界から消える事を覚悟しておいたほうがいいよ」
今まで気づかが、褐色肌をした青年が自分の首にナイフを当てていた。
声を上げそうになった時、
「レイヴン、騒ぎになったら面倒だし、友人の妻を殺したらいけないだろ?今は」