伯爵と妖精~新しい息吹~
妖精には気をつけて
翌日、ポールとロタが伯爵邸にやってきた。
「伯爵、おめでとうございます」
ポールが花束を渡した。
「ありがとう、ポール。君に祝福されると嬉しいね」
楽しそうに会話をしていたら、
「あたしはスルーかよ!」
隣にいたロタがエドガーの足を蹴ろうとした、
「ロタ!今日も来てくれたの?あら、ポールさんも」
リディアが花の花瓶をもって走ってきた。
「おう!リディア、妊娠おめでとう」
ロタがリディアに抱き着こうとしたら、
「あぁリディア、重いものを持っちゃいけないし、走っても駄目だろ?あと、悪いものに触れたら大変だ」
リディアから花瓶を取った。
「あたしゃ悪いものじゃないよ!あんたの心配性が酷くなったな」
不満げに足をパタパタするロタ、
「そうよ、それに花瓶は重いものには入らないわ」
さすがに行き過ぎた心配性だとリディアも思う。
「まぁまぁ、皆さん。あ、伯爵絵を持ってきましたよ」
話しをそらそうとポールが絵をだした。
「じゃあアトリエで見よう」
エドガーがリディアの体を支えるようにして歩いた。

アトリエでポールが持ってきた絵を開くと、
「まぁ、私とエドガーね。それに…小さな妖精もいるわ」
絵には揺り篭を見つめるリディアとエドガーが描かれていた。それに揺り篭の中には小さな羽根の生えた妖精がいた、
「ポールは未来が見えたのかい?」
確かにたまたまにしてはすごい偶然だった。
「はぁ…、確かに未来を見たのかも知れません」
凄い、とみんなが驚いた。
詳しく話しを聞くと、
「夢を見たんです、小さな羽根の生えた妖精を追い掛けていたら、伯爵を見つけたんです。声をかけようと思ったら…」
「この風景が見えたのね」
えぇ、と答えた。
「凄いな、さすが妖精画家だね」
褒めるロタに照れているポール。
「その妖精は何だと思う?リディア」
少し考えたリディアだが、
「予知を知らせる妖精は聞いたことが無いわ…」
「きっと幸福な妖精だよ」
微笑むエドガー、
「そうね…」
リディアが一つ気がかりだったのはチェンジリングだ。
もうチェンジリングは無いと分かっていたリディアなのだが、何故か不安だった。
しかし、エドガーの笑顔を見て絶対に大丈夫と思えた。


それから数ヶ月後、
リディアのお腹が目だってきた頃、
メースフィールド公爵夫人のお茶会に誘われていた。

「リディアさん、妊娠したんですって?」
久しぶりに会う貴婦人たちに同じ質問を何回もされる。
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