ありのままの、あなたが欲しい。

愛斗がトイレから出てくると、私達はさっさと玄関に向かった。


「ありがとうございましたー」と二人で頭を下げると、ショージさんは笑いながら愛斗の頭をくしゃっと撫でる。



「また何か困ったことあったら協力しますよ、お詫びも兼ねて」



“お詫び”ねぇ…。



「じゃあトイレットペーパーください」


「……早速ですか」



お互い顔を見合わせるとショージさんはまた吹き出して、私もつられて笑ってしまった。



「ちょっと待ってて」と言ってまた部屋に戻っていく細身の背中を眺めていると、

「いい人だね!ショージ!」

なんて愛斗がニコニコして言う。



「…いい人っていうか、憎めないっていうか」



そう呟いて、私はやれやれと笑いを零したのだった。




< 134 / 395 >

この作品をシェア

pagetop