ありのままの、あなたが欲しい。
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それから数日後。


いつものように仕事をしていると、段ボールを運び終えた森井さんが手をパンパンと払いながらこう言った。



「今日こそはアカシヤの子達が来るかもしれないなぁ」



そういえば。

あの時からそのことを聞くのをずっと忘れていた。



「店長、“アカシヤ”って何のことですか?」


「あぁ、藤咲さんはまだ会ったことなかったかい」



品だしをしながら頷くと、森井さんは目尻にシワを作って穏やかな笑みを浮かべた。



「“アカシヤ”っていうのはね、この坂を上った所にある知的障害者施設の“アカシヤ学園”のことだよ」


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