ありのままの、あなたが欲しい。

耳にかかるくらいの黒髪を怠そうにくしゃっと掻くと無造作な癖がつく。



「あのね…、俺も片っ端から手を出してるワケじゃないんです」



寝癖がついたような髪の毛をそのままに、苦笑を浮かべて去っていく彼がなんだか滑稽で笑ってしまった。


やっぱりどうしても憎めない。


昔から女にだらしない人となんて関わりたくないと思っていたのに。




「あのコは好青年でね、荒立たなくてすごくイイ子なんだよ」



買い物を終えて車に乗り込んでいくショージさんを見ながら、森井さんが私にそう言ってきた。



「あれで彼女いないっつーから不思議なんだよなぁ～…」



顎に手を当てて首を捻る森井さんに、私は複雑な想いで相槌を打っていた。