ありのままの、あなたが欲しい。
その人は首を捻ったり手を動かしたり、ぎこちない動きをしながらボールと愛斗を交互にじっくり見ている。


一目見ただけでわかった。

あの人は障害者だと──。



一見おじさんに見えるその人は、何か一人で呟きながら愛斗に向かって歩き始めた。


愛斗が見えているようないないような、なんとも異様な動作をしながらどんどん近付いていく。


本能的に、それが“怖い”と感じた私は



──愛斗を離さなきゃ!



瞬間的にそう思って、弾かれるようにベンチから立ち上がった。


そして愛斗に駆け寄ろうとしたその時、誰かが私の肩にポンッと手を置いた。


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