ありのままの、あなたが欲しい。
「ショージさん…!?」



振り向いて見上げると、彼は私に薄く微笑みかけて愛斗のもとへと歩いていった。


障害者らしき男性は二人の前で立ち止まると、何かを言いたそうな素振りを見せながらボールを指差しているように見える。


彼の言いたいことを察したショージさんはにこりと微笑んだ。



「ボール拾ってくれようとしたんですね。ありがとうございます」



そして愛斗の背中に軽く手を当て、「取っておいで」と言った。



「うん、おじさんありがとう!」



笑顔でそう言った愛斗はボールを拾いに走り出す。


その姿を見届けて、男性はまた何事もなかったかのように独り言を呟きながら去っていった。


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