ありのままの、あなたが欲しい。
あぁ…私はバカだ──…。
今、あの人のことを“何をするかわからなくて怖い”と思った。
もしかしたら愛斗に手を出したりするんじゃないかと思ってしまった。
それって完璧な偏見じゃないか。
自分は偏見なんて持っていないと思っていたのに。
あの人は何も悪意なんてなかったというのに──
あらぬ疑いを持ってしまった自分に、酷く自己嫌悪する。
大きなため息をついて、私は再びベンチに腰を下ろした。
「──藤咲さん」
その声に顔を上げると、穏やかに微笑むショージさんがいた。
彼はゆっくり私の隣に腰を下ろす。