ありのままの、あなたが欲しい。
「なんか最近前にも増してぼーっとしてるぞ?恋患いか?」


「………」



俺は一瞬固まり、肉食獣から目を逸らして引きつり笑いを浮かべる。



「そんなんじゃないっすよ…」


「お前意外と嘘つくの下手だな」



…意外とって何だ。


あっさり見抜かれて、俺はそれ以上見苦しい言い訳をするのはやめた。



「そうか、ショージにもついに好きな女が出来たか!
誰だ、やっぱり人妻か!?」


「だから人妻じゃないですって。
…シングルマザーです」



声のトーンを落として言うと、武田さんは目をぱちくりさせる。

肉食獣のくせにこんな仕草が可愛らしい。


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