ありのままの、あなたが欲しい。
夏芽さんの衝撃的な過去を知った、あの花火大会の日。
『幻滅した?』と聞かれたけれど、そんなのは到底無理だった。
それどころか、彼女が全てを俺にさらけ出してくれたことが嬉しかったくらいなのだから。
それに…なんだかホッとしたんだ。
彼女にも、決して綺麗だとは言い難い部分があったことに。
でも、それでも彼女は俺にとって高貴な花のような存在であることに変わりはない。
『あなたのこと、節操なしだなんて思ってたけど…私だって似たようなものよね。
愛情じゃなくて、同情だけで彼と寝たんだから』
夏芽さんはそう言ってたが、俺と同じだとは思わないよ。
絶対に結ばれない相手への欲求を、誰かに求めてしまった彼女の気持ちはよくわかるから。