ありのままの、あなたが欲しい。
──あの日。
水谷さんに誘われて行った公園で、一人で遊ぶ愛斗を見る私に彼女はまずこう言った。
『さっきの男の人は誰ですか?』
『──…』
会ったばかりの彼女にいきなり身の上話なんて出来るはずもなく、何も答えられないでいると
『…叶と、あの人との間で迷ってたりします?』
と、更に問い掛けられた。
黙る私を見て、それが肯定を意味しているのだと捉えたのか、水谷さんはまた話し出した。
『…叶はあなたに惹かれてるんだと思います。
でも、それは母親とあなたを重ね合わせているのかもしれません。
叶は気付いていないかもしれないけど、母親から得られなかった愛情を無意識に求めてるんじゃないかって思うんです』